今回は、日経コンピュータNo.1127の読書ログです。
書籍情報
流通に乗っていないため、公式サイトで購入するのがおすすめです。
日経コンピュータ 公式サイト (nikkeibp.co.jp)
書名:日経コンピュータ NO.1127
編集長:玉置亮太
出版社:日経BP
書評
どんな本か
プログラミング・DX・生成AI・時事ニュース・アジャイル等、主にIT業界を幅広く網羅した雑誌で、IT業界に身を置いている人であれば、どんな職種であっても気になる記事があるような構成になっています。
その中でも今回は、以下のような目次になっていました。
特集1:いつの間にか生成AI 業務SaaS大手5社が組み込み
特集2:アジャイルで組織変革 迅速な意思決定に必要な歯車構築
インタビュー:企業活動をアジャイルに(米スケールドアジャイル SAFeフェロー ハリー・コーネマン 氏)
ITが危ない:IT業界にも人手不足倒産の懸念
フォーカス:業績ランキング2024 11社が増収増益予想
データは語る:個人情報の事故「漏洩」が7割 ほか
ケーススタディー:マイクロサービス基盤を追加 移行対象を絞り「Go」で書き換え(menu)
注目企業のDX組織新コラム:全世界と地域の2階層でDX推進(アサヒグループHD)
動かないコンピュータ:ランサム感染で生産・受注が停滞 納期遅れがレンズ業界全体に飛び火(HOYA)
ニュース & リポート
- サードパーティークッキー廃止撤回
- 能登半島地震の被害額が判明、通信大手4社合計で200億円超に
- デジタル庁公開の認証アプリ、民業圧迫や個人データリスクに懸念
- 量子コンピューター経済効果の新予測、「NISQ」への期待は下方修正
- 京大が世界初の数式化 ブロックチェーンのトリレンマ、数理的に
- SBI生命が音声にこだわる生成AI、社内ヘルプデスクを一部自動化
- IT4社の2024年4~6月決算、モダナイ需要など取り込み利益堅調
- 乱反射 大手18社の4~6月決算、AIの効果で売上高は9.5%増に
連載
- 企業がはまる5つの「AIリスク」
画期的な新技術がAI経由で流出、敏腕開発者のプロンプト入力ミス - 間違いだらけの設計レビュー
AIシステムのレビューの要所は2つ、損害見積もりと精度低下への備え - 実践DX、クラウドで始めるデータマネジメント
データ活用のアプローチ、トップダウンとボトムアップ - 社長の疑問に答える IT専門家の対話術
オープンソースに正しく向き合う、最新技術の開発者と共に成長へ
オピニオン
- 極言正論
優秀な技術者は去って行く、中途採用者を終身雇用する愚 - モバイル一刀両断
新料金プラン「eximo ポイ活」、ドコモは欲張り過ぎたのか - 中田敦のGAFA深読み
メタがLLMをオープンにする理由、UNIX没落の教訓と「反アップル」 - 大森敏行のプログラミングで行こう
プログラミング言語が自然言語化、開発よりも意思疎通が重要に - 勝村幸博の「今日も誰かが狙われる」
止めたくないシステムほど止まる、原因のFalconとは「何者」か
キーワード:フィジカルインターネット
どんな人向けか
IT業界に身を置いているものの、情報収集の方法がわからない人や、自分がいる分野だけでない、幅広い情報を集めたい方におすすめです。
読み始めたきっかけ
定期購読しているためです。
昨今暗いニュースが多く、ネットで情報収集をしすぎるとしんどくなるため、分野に特化した雑誌で情報収集しようと思い、定期購読を始めてみました。
感想・まとめ
今回は、特集記事1について、学んだ点を書いていきます。
特集1いつのまにか生成AI について
内容としては、SaaS大手が生成AIを使用した機能を製品に組み込み始めており、近い将来、意識せずに生成AIを業務に使う未来が来る、という内容でした。
その中で、各ベンダーがどのように機能を実装しているか、何を強みにするのか、等が解説されています。
標準機能で活用支援
総論として、SAP、ORACLE、ServiceNow、Workday、salesforce等の大手企業では、次の4つをキーワードとして製品に生成AIを組み込んでいっているようです。
- AIアシスタント
- 標準機能に組み込むAI
- アドオン等の新機能開発支援
- ローコード/ノーコードツールを使ったSaaSアドオン等の導入支援
どれも、機能一つを取ってみれば、すでに一般化してきているものが多い印象です。例えば、AIアシスタントに関してはChatGPTが広義では最初期にその立ち位置で活躍してましたし。
ただ、業務で生成AIを使う方法というのは未だ模索中の段階です。その中で、多くの企業が導入しているパッケージ製品にこれらの機能が載ってくる、というのは、大きな転換になるのかなと思いました。
顧客対応を円滑に
この章では、主にSalesforceにおける生成AI機能の開発方法について、解説されていました。
Salesforce製品を導入する企業は多く、蓄積されるデータは相当数に上るため、生成AI機能を検討する場合、利用しない手はありません。
ですが一方で、そんなビジネスクリティカルなデータを生成AIの学習に使ってしまうのは考えものです。
そこで考え出されたデータを利用する方法が、ベースの回答を生成AIに作成させ、その回答に顧客固有のデータを埋め込む、という手法だそうです。
業務の流れを最適化
この章では、ServiceNowの生成AI機能の特徴について、解説されていました。
色々と解説されていましたが、一番大きな特徴は、独自のLLMを開発しているところかと思います。
例えばSalesforceに関しては、開発にかかるコストとの費用対効果を考慮した結果、外部LLMを採用しています。他の大手も外部LLMを採用するところが多い中で、ServiceNowは独自LLMの開発に舵を切ったそう。
透明性や回答の精度を担保するために、その方針を取ったそうです。
ERPで基幹系に浸透
この章では、各企業ごとの生成AI機能の特徴について、解説されていました。
- SAP:対話型AIで検索・入力・コード生成をサポートする。RAGを実現するサービスをいくつか公開した。
- オラクル:組み込み型AIで文書の自動生成・要約を実装する。OCIと同じ基盤で生成AI活用できる。
- Workday:自社LLMを開発し、個別企業に合ったチューニングを行う。
結構多岐にわたっています。
もともとエンジニアをしていた関係で、minとしては、生成AIの業務利用=コード生成、のようなイメージが何となくあります。もちろんそれも機能の1つになりえますが、それだけではないです。
この記事を読んで、生成AIに対する固定概念のようなものがminは強いですが、生成AIの世界はそんなに狭くないんだな、ということを学びました。
総評
雑誌のような定期刊行物に対して、改めて何かを書くのは難しいですが、今回もとても勉強になりました。
今回は特集1について取り上げましたが、他にも、アジャイル組織についての記事や、menuのGo開発についての記事が特に面白かったです。
最後に
数か月前から定期購読を始めていたのですが、日経コンピュータの読書ログを書くのは今回が初めてです。
記事の内容がほんとに多くのジャンルにわたるので、ログを書くのは難しすぎました。
学んだことはがんばってアウトプットしたいですが、この雑誌に関しては、今後も読書ログを書き続けられるかどうか怪しいなと思ってます。笑